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【国文学科13】本学の図書館で「イソップ寓話から絵本をつくる」の展示がはじまりました【子どもと文学】

国文学科
 みなさんこんにちは。国文学科・講師の吉田大輔です。
 蝉の声はいつしかコオロギの声に代わり、国文学科も9月14日(木)から秋学期を開始しています。秋学期がはじまるのに合わせて、おなじく9月14日から、春学期の国文学科の授業で学生たちが作ったものを振り返る展示をはじめました。今回は、そのお知らせです。
 私が担当した2023年春学期の授業「子どもと文学」では、イソップ寓話(ぐうわ)を取り上げました。寓話とは、擬人化された動植物や自然現象を描き、なんらかの教訓を教える短いストーリーのことです。現在私たちがよく知るイソップ寓話としては、「アリとキリギリス」「兎と亀」「金の斧」「北風と太陽」などがありますね。
 イソップ寓話の「イソップ」は、人の名前です。古代ギリシャの物語作者・アイソーポスが語ったとされる物語を「イソップ寓話」と呼んでいますが、「アイソーポス」を英語発音すると「イソップ」となり、こちらの呼び方に私たちは親しんでいます。
 古代ギリシャにはじまったイソップ寓話は、歴史の中でやがて東西へ伝わっていき、日本にこの話が届いたのは、1593年のことでした。意外と早くてびっくり、という感じですが、これはヨーロッパからやってきた宣教師たちが伝えてくれたものです。イソップ寓話は、徳川期(江戸時代)に入ると「伊曾保物語(いそほものがたり)」として庶民に知られるようにもなり、明治以降は小学校の教科書などに採用されていたこともあります。
 今年の「子どもと文学」の授業では、テキストとして、中務哲郎先生が翻訳した岩波文庫版『イソップ寓話集』を使いました。この本には、現在よく知られている物語だけではなく、あまり有名ではない話も多く収録されており、その総数は471話になります。この471話をまとめて読んでいくと、似ている話がけっこうあるな、ということに気づきます。
 そこで今年の学生たちには、『イソップ寓話集』に471話ある話から、こうした似ている話を発見してもらいました。そのうえで、各自の「似ている!」の発見をもとにオリジナル絵本を制作してもらいました。学生たちがみずから発見した「似ている!」は、さまざまです。神様・ヘルメスが神様・ゼウスにおつかいさせられる話を集めた絵本を作ってくれた学生も、嘘つきがどうなるかを書いた話を集めた絵本を作ってくれた学生もいます。おもしろい絵本がたくさんできあがったので、ぜひ展示して多くの人に見てもらおうということで、図書館の司書のみなさんの協力のもと、展示を行うことにしました。
 古典を能動的に活用して新しいものをつくった、国文学科の学生たちの意欲的な試みを、ぜひご覧ください。詳細は以下です。

展示・イソップ寓話から絵本をつくる
場所・滋賀文教短期大学図書館
期間・2023年9月14日(木)~2023年9月28日(木)夕方3時まで