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へろへろのおすすめ本

へろへろのおすすめ本
図書館に時々出没するかえるのへろへろ。
住処は大学横の田んぼだという噂(田村山とも!?)。
ふらりとやってきては豆知識をつぶやくのが趣味なのだとか。
図書館公式キャラクターであるへろへろ隊長のもと、隊員である司書が本をおすすめしていく。
おすすめ本はカウンターにあります。
《 2022年度 》

2022.7

『feel blue こころが元気になる贈り物』

吉野雄輔写真, 秋月菜央文/経済界
2003年発行/159ヨ

 「文は武よりも強し」という言葉があります。「書かれた言葉は物理的な力より強力である。説得力のある言葉の方が強大な軍事力よりも人々に与える影響力は大きい。(『現代英語ことわざ辞典第2版』 戸田豊編著 リーベル出版、2004年発行、p723)」という意味です。言葉は人を愉快にしたり、怒りや悲しみを和らげたり、時には突き動かしたりします。本を読んで、そこに書かれた言葉の力を借りてみませんか?
 本書は、優しくあたたかな言葉がけをしてくれます。少し心が疲れてしまったときや、背中を押してほしいときに特におすすめです。全31編の中から1つご紹介します。

今日という
この日は 1日だけ
もう 2度と取り戻せない
それなら
笑って過ごそう

怒って過ごしても
泣いて過ごしても
うつむいて過ごしても
同じ1日

暗く過ごしたら もったいない
楽しいことを思い出して
好きなことをして
笑って眠りにつこう           「同じ1日なら」より

 確かに、今日という日は1日だけであって、そして同じ1日なら暗い気持ちでいるよりも明るい気持ちで過ごしたいですね。改めて1日1日を大切に過ごそうと思いました。読み進めると、共感したり、ハッと気付かされることがあり、前向きな気持ちになることができました。
 海と海の生物全てをこよなく愛する写真家による、美しい海の景色や魚たちの写真が多く掲載されていて、爽やかで癒やされる、夏にぴったりの1冊です。パラパラとページをめくって見ているだけでも気軽に楽しむことができる本書をぜひ手に取ってみて下さい。

(へろへろ隊員 いわしま)

2022.6

『中高生のための哲学入門:「大人」になる君へ』

小川仁志著/ミネルヴァ書房
2022年発行/104 オ

 題名を見て、大学生の自分たちは読者の対象ではない、と思わないでください。皆さんも承知しているとおり、民法改正により成年年齢が変わり、2022年4月から「18歳」は「大人」の扱いとなりました。では、私たちはどうあれば大人なのでしょう。いわゆる「大人」はみんなそれを知っているのでしょうか。筆者はその「鍵をにぎるのは「哲学」でした」と述べています。
 哲学というとどのようなことを学ぶ学問なのかわかりにくいと思っている人も多いと思います。筆者は、哲学の特徴とは「当たり前のわかりきったことを問う」という点とそれを「いつまでも問い続けていく」という点、だとしています。また、哲学とはどのようにすればよいのか、ということについては、「物事を疑い、様々な視点で捉え直して、再構成し、それを言語化する」と述べています。つまり、哲学の第一歩は「当たり前を疑う」ということになります。例えば、自由とはどのようなことだと皆さんは考えていますか。「自由とは何でも好きなようにできることだと思っていたなら、一度それを疑ってみてください」と筆者は述べています。このように具体例をあげてわかりやすく説明しているので、皆さんには抵抗なく読めるものと思っていますし、理解も進むものと思います。
 皆さんは児童から生徒、そして現在、学生となり、次は社会人となる人が多いと思います。これまでであれば、社会人=大人というように理解されていました。その「大人」はこれまで二十歳でした。それが今年から十八歳となったのです。しかし、社会人になったから何でも分かるというものではありません。大切なことは考えるということです。「考える」ということについては大学において様々な科目を通して様々な方法で学んでいます。
 現代社会において、知識だけで判断できる物事は少ないと思います。そのため、みなさん自身が主体的に考え、意見の持ち方を身につける必要があります。この本においてはそれを具体的な事例をもとに述べています。これまで一度もこんなことを考えてこなかった、というのであれば今がチャンスです。哲学は「考えるための道具」であり、この道具の目的は「よりよく生きていくこと」と著者は述べています。「哲学」についてわかりやすく紹介した書です。ぜひ、読んでみてください。


(へろへろ隊員 おりと)

2022.5

『食育の理論と教授法 : 善き食べ手の探求』

上田遥著/昭和堂
2021年発行/498.5 ウ

 飽食の時代と言われる現代において、何をどのように食べるのか、ということは、イコール健やかに人生を重ねる方法のひとつと捉えることができます。ただ単に必要な栄養素を満たせばよいという生理的な満足だけではなく、温かい食事で心を満たす心理的な満足や、他者や風土とつながりを保てるような社会・文化的な満足など、広範囲での生を健やかに保つための食育が大切です。
 すでに、家庭や保育・教育現場において食育は広く実践されていますが、その歴史を紐解き、課題や問題点を洗い出し、新たな教授方法を模索しているのが本書です。

 一般的に「食育」は2005年の「食育基本法」をもって誕生したとされていますが、「食教育」という発想はそれほど新しいものではなく、近代初期から、栄養教育、食農教育、食に関する指導など様々な食教育が展開されてきました。そんな食育の系譜や研究動向をわかりやすく解説し、新たな教授法としての味覚教育について、その効果や推進体制を詳しくまとめています。また、フランスにおいて、「善く食べること」「善く生きること」を意味するガストロノミの思想や、食育理論の構築にも触れています。
 一見難しい内容のように思われますが、その実は、「食べる」をどう考え、「教育」をどう考え、「善き食べ手」をいかに育むかを追求し、人が豊かに食べ、生きていけるようその方法を論じた一冊です。
 食育を実践していかなくてはならない保育・教育に係わる人だけでなく、自分の人生そのものを見直すきっかけとして本書に触れてみてはどうでしょうか?

(へろへろ隊員 やまだ)

2022.4

『デニムさん : 気仙沼・オイカワデニムが作る復興のジーンズ』

今関信子文/佼成出版社
2018年発行/589.213イ

 子どもから大人まで、ファッションとしても人気のデニム。洋服、帽子、バッグ、小物など、様々な商品があります。普段から愛用しているという人も多いのではないでしょうか。
 今回紹介する本書は、地元の人から「デニムさん」と呼ばれて親しまれている、オイカワデニムという縫製工場が舞台です。ミシンで縫うことが難しいとされますが丈夫な麻糸を業界で初めてジーンズに使用するなど、その高い技術力で今や世界的に知られる存在です。
 しかし、そこにいたるまでには、様々な困難がありました。工場がある場所は、宮城県気仙沼市。社長の死、不景気、そして東日本大震災による津波の被害…。そんな厳しい状況の中、オイカワデニムの2代目社長となった及川秀子さんが中心となり、困難を乗り越えてきました。不景気で仕事が減ってしまった際には、従業員たちに各々好きなジーンズをデザインから縫製まで自由に作ってもらうことで、工場で働く楽しさを思い返してもらいました。そして、そのときに生まれた美しい縫い目は、後に自社ブランドを立ち上げた際の特色となりました。
 震災の際には、工場を避難所として開放。避難した人々が不安な気持ちでいる中、秀子さんは工場から復興の旗を上げようと決意し「みなさん、働きましょう」と言い、士気を高めました。地元漁師との交流を深め、初めは失敗しながらも工夫を重ね、本来ならば捨てていた大漁旗やメカジキの部位を使用した商品を開発するなど、新たな挑戦に臨みました。
 震災の後に見つかったオイカワデニムのジーンズは、1本の糸のほつれもなかったことから「復興のジーンズ」、「奇跡のジーンズ」と呼ばれ、従業員の自信と多くの被災者を勇気づけるものになりました。
 本書を読み、オイカワデニムの歴史と魅力、ものづくりのおもしろさや苦労を知り、また、働くということについて改めて考える機会にもなりました。
 困難な出来事に遭遇したとき、それに柔軟に対応し乗り越える強さを学ぶことができる1冊です。

(へろへろ隊員 いわしま)