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へろへろのおすすめ本

へろへろのおすすめ本
図書館に時々出没するかえるのへろへろ。
住処は大学横の田んぼだという噂(田村山とも!?)。
ふらりとやってきては豆知識をつぶやくのが趣味なのだとか。
図書館公式キャラクターであるへろへろ隊長のもと、隊員である司書が本をおすすめしていく。
おすすめ本はカウンターにあります。
《 2021年度 》

2021.7

『ペットボトルで育てよう プランターなしでかんたん! : 野菜・花 ミニトマト・タンポポほか』

谷本雄治著,亀田龍吉写真/汐文社
2021年発行/626 タ

 毎年、夏の定番として、バジルや青シソをベランダのプランターで育てては、摘みたての風味を楽しんでいます。摘みたてのハーブは香りがとても強く、購入したハーブとはまた違った魅力があります。使いたい時に、使いたいだけ摘むことができ、育てるのも意外に簡単なのがベランダ菜園の魅力です。
 昨年からのコロナ禍で、ベランダ菜園の熱はますます上がり、ハーブや野菜だけではなく、花にも手を伸ばし、我が家のベランダには所狭しとプランターが並んでいます。
 これ以上プランターや植木鉢は増やせない…というのが目下の悩みです。
 そんな、栽培場所が限られた人や、手軽に野菜を育てたい人にとって、目からウロコのペットボトル栽培の方法をわかりやすく解説しているのが本書です。
 
 プランターや植木鉢がなくても、置き場所が狭くても、普段から身近にあるペットボトルで栽培容器を作り、手軽に育てることができます。
 この本では、ミニトマトやダイコン、イチゴやコマツナ、ヒヤシンスやアボカドなど、様々な野菜や花の育て方を、たくさんの写真を元に丁寧に解説しています。ペットボトル工作の基本的な手順や使用する道具を、ひとつひとつ写真で掲載しているので、大変わかりやすいです。ペットボトル以外の材料も、普段から使っているような道具が多いので、気軽に始めることができます。
 植物を育てるときの基本や注意、便利な材料・道具なども解説しているので、初めて育てる人も理解がしやすく、「やってみよう!」という気持ちになります。
 ジャガイモやタンポポまでペットボトルで育てることができるのには驚きです。
 また、それぞれの野菜や花ごとに、育てやすさが3段階のマークで表されているので、簡単なものから初めてみるのもいいですね。
 
 ぜひ、この本を参考に、育てる楽しみを感じてみてください。
              
      (へろへろ隊員 やまだ)

2021.6

『生まれてバンザイ』

俵万智著/童話屋
2010年発行/911.168 タ

久しぶりに俵万智の歌集を購入して読みました。というのも、

バンザイの姿勢で 
眠りいる吾子(あこ)よ 
そうだバンザイ 
生まれてバンザイ       『生まれてバンザイ』より

新聞でこの歌が取り上げられているのを目にし、以前、自分の子が寝ていた姿、最近では孫が寝ている様子が思い浮かび、親として、祖父としてこの歌に詠まれている思いに深く共感したからです。

はずみつけ
腰をひねって
おっとっと
寝返りはまだ
うまくできない        『生まれてバンザイ』より

これも私には実感をともなって理解できるものです。このように、この歌集に収録されて短歌は、俵万智が母親になって詠んだ歌がほとんどです。

制服は未来のサイズ入学のどの子もどの子も未来着ている 
                  『未来のサイズ』より

あわせてこの歌集も購入しました。この歌は、「大きくなるのを見越して皆がぶかぶかの制服を着ている入学式の光景が、約束された未来を映しているようでまぶしかった。子どもたちがのびのびと生きられる社会であってほしいという願いを込めた歌だ」と朝日新聞にありました。時節ごと、よく目にする光景です。あの様子をこのように表現するのか、と感動しました。第六歌集であるこの『未来のサイズ』は短歌界で最も権威があるとされる迢空(ちょうくう)賞(第55回、2021)を受賞しています。この歌集は新型コロナウイルスに揺れる日常や政治のありようなど、社会詠が多く含まれているのが特徴です。

この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日
                  『サラダ記念日』より

私が俵万智という歌人を知ったのは、この歌を代表歌とする歌集『サラダ記念日』によります。俵万智の第一歌集であり、1987年に初版が発行されると、短歌の世界に口語を自在に取り入れたことにより一大センセーションを巻き起こし、280万部を超えるベストセラーとなりました。当時、私もすぐにこれを購入しました。この歌集は歌人の登竜門として知られる第32回現代歌人協会賞(1988)を受賞しています。また、俵万智の歌はこれまで中学校、高校の教科書にも取り上げられています。そこに読み込まれた「心」、またその表現力等が評価されたものと思っています。
和歌は日本に昔から伝わる詩の形式であり、三十一文字の中に自分の「心」を詠み込みます。それは現代短歌であっても同じです。時には、こうした歌集のすばらしさにもふれてみてはどうでしょう。

『未来のサイズ』俵万智著/角川文化振興財団/2020年発行/911.168 タ
『サラダ記念日 俵万智歌集』俵万智著/河出書房新社/1987年発行/911.168 タ

              
      (へろへろ隊員 おりと)

2021.5

『だいじょうぶ だいじょうぶ』

いとうひろし作・絵/講談社
2013年発行/Eイト

 絵本、というと「子どもが読むもの」。そう思われている方も多いと思います。みなさんは最近絵本を読みましたか?出版科学研究所によると、紙の出版物全体の売り上げは2019年から2020年にかけて減少しましたが、そんな中でも絵本の売り上げは増加傾向にあります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で緊張が続く日々に安らぎを求めたい、また、子どもの読み聞かせをきっかけに、などの理由から大人が絵本を手に取る人が増えているようです。
 絵本の魅力は文字を読むことが苦手な人、本を読む時間がないという人でも気軽に読むことができ、豊かな絵と必要最低限の言葉が想像を膨らませ、心の隙間を埋めてくれるところにあるのではないかと思います。様々な経験を積んで大人になった今だからこそ気付くこと、簡潔に書かれた言葉の奥に隠された深い意味を考えて、子どもの頃とは違った感動を得ることができるかもしれません。「今」持ち合わせている感性で、再び絵本に触れてみませんか?

 大人にも読んでほしいおすすめの絵本の中から、今回は『だいじょうぶだいじょうぶ』という絵本をご紹介します。
 「ぼく」が幼い頃にした、おじいちゃんと家の近くをのんびりと歩くだけのお散歩。それは「ぼく」にとっては未知への冒険。新しい発見や出会いが増える反面、困ったことやこわいことにも出会うようになりました。だけどそのたびにおじいちゃんが「ぼく」の手をにぎり、「だいじょうぶだいじょうぶ」とおまじないのようにつぶやきました。この言葉に励まされ、助けられて「ぼく」は大きくなりました。だから、今度は「ぼく」の番。病院で横たわるおじいちゃんの手をにぎり、何度も繰り返すのです。「だいじょうぶだいじょうぶ」。

 題名でもある「だいじょうぶ」という言葉には、励まし・安心・信頼などいろいろな意味があります。困ったことが起きたり、こわいと思うときは年齢や性別に関係なく誰にでもあること。もしも自分や周りの人が元気がなかったり、緊張や不安で気持ちが落ち着かないとき、この絵本を思い出して声に出してみて下さい。「だいじょうぶだいじょうぶ」。

(へろへろ隊員 いわしま)

2021.4

『北欧の挿絵とおとぎ話の世界』

海野弘解説/パイインターナショナル
2015年/726.5 ウ

 スウェーデン、デンマーク、ノルウェーを中心に、フィンランド、アイスランドなどのヨーロッパ北部地域を指す北欧は、夏の白夜、冬の極夜といった独特の自然現象の中で、様々な神話や伝説、おとぎ話を育んできました。時には北ドイツも含むこともあり、「北欧神話」や「ゲルマン神話」には共通の物語がたくさんあります。
 柔らかな土壌のヨーロッパ中央部とは違い、ごつごつとした岩肌や厳しい自然が印象的な北欧の物語は、風景ひとつとっても神話的で、荒々しく力強さに溢れています。
 そんな北欧に伝わる神話やおとぎ話の世界と、それらを彩る美しい挿絵をひとつひとつ紐解き、解説しているのが本書です。

 第一章では、北欧の神話とおとぎ話について、第二章では物語を彩る挿絵画家について、豊富な資料を元に丁寧に解説しています。
 永遠の時を生きるギリシア・ローマ神話の神々とは異なり、死の運命と終末の時を迎える北欧の神々は、変化し、戦い、傷つき、死んで行きます。混沌から現れて世界を作った巨人たちを滅した主神オーディン。オーディンはユミルという名の巨人の身体から天と地を作り、アスクとエンブラ(アダムとイヴ)という最初の人間を生み出し、ミズガルズに住まわせます。古い神々であろう霜の巨人はヨーツンヘイムに追いやられ、オーディンたち新しい神々はアースガルズで世界を治めます。
 ヴァルハラという名の大広間に戦死した勇猛果敢な戦士を集める戦の乙女・ヴァルキューレや、誰よりも強い戦いの神・トール、トールの持つ伝説の鉄槌ミョルニルなど、最近ではゲームや映画でよく見かける名前が多くでてきます。
 やがてオーディンを始めとする神々の世界は、神々の黄昏<ラグナレク>として滅び、英雄の物語が始まります。また、神話と歴史のはざまで語られる英雄伝説の系譜とは別に、トロルや小人、妖精などが語られる民話も同時多く存在し、ファンタジー物語としてどのように語り継がれてきたのかを解説しています。
 誰もが知っているアンデルセンや、その世界を暖かな色合いで描いたアーサー・ラッカムなど、有名無名問わず紹介されていて、さらに物語世界に触れたくなります。もちろん、北欧を語る上で絶対外せないトーベ・ヤンソンの『ムーミン』についても触れています。

 そのほか、北欧のデザインや世界観など、様々な事柄について幅広く掲載されていて、北欧をまるっと楽しめる一冊です。
 パイインターナショナルらしい、美しく読み応えのあるこの本をぜひお楽しみください。

(へろへろ隊員 やまだ)