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文教SMILEブログ

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【国文学科10】児童文学ゼミ 優秀「研究ノート」 

ゼミ
こんにちは。国文学科の細田です。

国文学科では、日本文化、文学の領域の中で、それぞれ異なる専門について学ぶ3つのゼミが開講(2年生・通年)されています。
3ゼミの1つである細田ゼミでは、絵本を含む児童文学について学んでいます。

細田ゼミで取り上げた作品は、例えば、小川未明、宮沢賢治、新美南吉の児童文学作品など。
よく知られた「ぐりとぐら」(中川李枝子文・大村百合子絵)や「モチモチの木」(斉藤隆介文・滝平二郎絵)といった絵本表現についても、講義の中で触れています。

ゼミの中心は、ゼミ生一人ひとりが研究テーマを設定し、そのテーマについて調べ、考え、レジュメを作り、口頭発表するという演習にあります。
知的なプロセスを経て考察を深め、発表し、その内容を最終的に文章にしていきます。

今年は、このような個人研究の成果を冊子にまとめ、「研究ノート集」を作成しました。↓






「研究ノート集」には、個人の研究ノートだけではなく、ゼミメンバー全員で記したゼミ紹介の記事も掲載しています。
この中から、「ゼミ生の声」の部分を少し抜粋してみますと・・・、

「発表はちょっとたいへんだよね(笑)」
「本当にそう(笑)でも他の人の発表聞くとおもしろいな~って思う!」
「みんなはなんでこのゼミ選んだの?」
「児童文学に興味があった人が大半じゃないかな?」
「私は子どもの頃に読んだのと大人になった今読むのとで色々考えが変わるかなって思ったんだ(^^)」

などなど、ゼミ生のリアルな感想が書かれています☆

ここに書かれているように、演習発表の準備はなかなかたいへんだったと思いますが、皆、しっかりと作品に向き合い、自分の考えを他者に伝える発表ができていました。
また、作品についての対話も活発で、濃密なゼミとなりました。

学科教員が行った選考会では、細田ゼミから、2人のものが優秀研究ノートに選ばれました!
大いに力を伸ばし成果を上げた2人に、拍手を送りたいと思います。

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優秀研究ノート 講評

① 弓場成美 宮沢賢治「注文の多い料理店」論
〈山猫/二人の若い紳士〉の関係を〈自然/都会〉との対立的な構図において捉えようとする先行研究に対し、両者の関係性について再検討を試みる論文です。
山猫軒の「鏡の国」のような構造や、若い紳士たちの内面における残虐さや傲慢さが山猫の性質と類似することを指摘し、紳士らの山猫への恐怖が描かれていると見える結末は、山猫に対してではなく、紳士たち自身の本性が暴露される―自らの姿を鏡で見る―ことによってもたらされるという、深層心理における恐れを意味していると結論づけています。
 先行する児童文学作品『鏡の国のアリス』(1871年)との相互影響性にも触れながら、隠された自己の露見という主題を読み取っており、興味深い論考となっています。

② 小川真璃 宮沢賢治「よだかの星」論
 本論考で最も重要な指摘は、鷹に命を奪うと脅かされるよだか自身が、他の生物を捕食することで自らの命を維持しているという、弱肉強食の食物連鎖を自覚するという場面についての言及にあります。この場面において、よだかは、殺したくないという自らの意志で生きる〈ただ一つの僕〉ではないことに気付いてしまったのだと捉えられており、説得力のある指摘となっています。
このように葛藤を抱えたよだかは、神によって作り上げられた秩序ある世界から、個として離脱していくことになるとし、よだかの目を通して、はるか彼方の宇宙空間においても星々の序列といった上下関係が遍く行きわたっていることが映し出されていくという作品構造を見ています。本論考は、青い星として燃え続けるよだかのありようを、序列という秩序を超えたいという、ある特定の命の願いを表していると結論づけています。論理的に自らの〈読み〉を示しており、評価できます。