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【国文学科14】授業紹介~伊吹山と文学~

授業風景
本学の教室からは、文学作品にも散見する「伊吹山」が見えます。
本日、伊吹山山頂に初雪が降りました(ついに冬到来)。



ここで、伊吹山に関連した大学の授業を少し紹介したいと思います。

  

「上代の文学」では、奈良時代の『古事記』を扱います。
日本神話の世界を語る『古事記』では、ヤマトタケルは伊吹山に戦いを挑んだことが原因で亡くなることが語られます。

  その御刀(みはかし)の草なぎの釼(つるぎ)もちてその美夜受比売(みやずひめ)の許に置きて、
  伊服岐(いぶき)の山の神を取りに幸行(いでま)しき。
  ここに、詔らししく、「この山の神は、徒手(むなで)に直(ただ)に取りてむ」とのらして、
  その山に騰(のぼ)りましし時に、白き猪(ゐ)、山の辺に逢へり。その大きさ牛のごとし。      (『古事記』中巻)

ヤマトタケルは、美夜受比売(みやずひめ)と結婚し、彼女の許に草なぎの釼を残し素手で「伊服岐の山の神」に戦いを挑みます。
その山中出逢った「白き猪」こそが、山の神の化身だったのです。

しかし、それに気づかず「後で殺そう」と言い放ったことに対して、山の神は「大氷雨」を降らせます。
この「大氷雨」に打たれたことが原因で、ヤマトタケルは亡くなります。

畏怖すべき伊吹山の姿が、ここには語られています。

  

「中古の文学」では、平安時代の女性が記した日記文学を扱います。
『紫式部集』では、父と共に越前国(福井県)から都へと帰京する際に、伊吹山を目にして1首詠んでいます。

    みずうみにて、伊吹の山の雪いと白く見ゆるを
  名に高き越(こし)の白山(しらやま)ゆきなれて 伊吹の岳(たけ)をなにとこそ見ね    (『紫式部集』72番歌)

「みずうみ」は琵琶湖、そこから名高い伊吹山の雪を見て、
「越の白山」(越前の冬の山)の「雪」に「行き」馴れているから、「伊吹の岳」は大した事はない、と。
雪深い北陸へ行った紫式部にとって、伊吹山の雪はそれほどでもないと見えたらしいです。

また、この和歌からは、紫式部が高島市などの湖西ではなく、長浜市の湖東を通って帰京したことがわかります。



和歌には「景情一致」「心物対応」という風景と詠者の心が一致した構造があると言われています。

紫式部が『古事記』を読んでいたかは分かりませんが(『日本書紀』は読んでいたらしいです)、
雪が積もった伊吹山の風景を目にした彼女の心は、どういったものだったとあなたは〈解釈〉〈読み〉ますか。