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へろへろのおすすめ本

へろへろのおすすめ本
図書館に時々出没するかえるのへろへろ。
住処は大学横の田んぼだという噂(田村山とも!?)。
ふらりとやってきては豆知識をつぶやくのが趣味なのだとか。
へろへろ隊長のもと、隊員である司書が本をおすすめしていく。
《 2012年度 》

2012.4

『ピラミッド事典』

ジェームズ・パトナム著
あすなろ書房/2005年発行/242.03 ハ


 古代エジプトは、歴史ミステリーの一つであると思います。なかでも、ピラミッドにはたくさんの謎が隠されています。王家の墓を発掘した人は謎の病、事故で亡くなってしまう?王家の呪い?等々…。まず、ピラミッドはどのような目的で作られたのか?最初に建築したのは、誰で何時頃なのか?を調べてみました。ピラミッドは、王によって彼らの肉体の最終的な安らぎの場所として造られました。ピラミッドの歴史を刻む第一歩となったのが、第三王朝時代(紀元前2650年頃)のファラオ、ジェセル王によって建設された「階段ピラミッド」で、現在サッカラと呼ばれている場所でした。イムヘテプという天才建築家の設計で建てられこの工法がピラミッド作りの始まりとなりました。ピラミッドは、農閑期に多くの民衆が働く場所を提供すべく、与えられた公共事業だったようです。そしてピラミッドを完成させるには20年の歳月を要したと思われます。中王国時代の王はピラミッドの入り口を盗難予防に隠し墓泥棒の目をごまかすための通路をつくりましたが、現在知られているピラミッドはすべて盗掘にあっています。唯一手つかずのままに残ったのは、有名なツタンカーメン王の墓だけです。もし盗難にあっていなければツタンカーメンのお墓で発見されたような黄金の財宝が出てきたのだろうか?この本は、ピラミッドの事が写真付きでわかりやすく書かれ、他の国のピラミッドの事も書かれてありちょっと調べたい時に便利な本だと思います。古代エジプトに興味がある人ない人も気軽に読める本です。そして私は、古代エジプトであのようなピラミッドを建築出来た技術はとてもすごい事だと思いました。いつかは行ってみたい国です。
(へろへろ隊員 なかがま)

2012.5

『家守綺譚』

梨木香歩著/新潮社/2006年発行/913.6 ナ

 今回ご紹介するのは、滋賀県在住の作家、梨木香歩の作品です。梨木香歩というと、数年前に映画にもなった『西の魔女が死んだ』を思い浮かべた方もいらっしゃるでしょう。学校に行けなくなった中学生の「まい」が、田舎に住むイギリス人の祖母のもとで魔女修行をする、という現代の話でした。
 今回の『家守綺譚』は、明治の終わり頃の話で、琵琶湖から流れ出る疎水(人工の水路)のそばにある古い民家が舞台です。主人公は、売れない青年作家・綿貫征四郎で、犬のゴローとこの家に住んでいます。この家は、大学時代の親友の実家だったのですが、その友人は大学生の時に、ボートの練習中、琵琶湖で亡くなってしまいました。綿貫はその友人の年老いた父親に頼まれて、家の守りをするためにここに住むことになったのです。
 この家の庭には、サルスベリ、白木蓮、木槿、サザンカなど様々な樹木があり、疎水の水を引いた池もあります。この家で暮らし始めた綿貫はつぎつぎと不思議なことに出あいます。床の間に掛けてある水辺の景色をえがいた掛軸からは、亡くなった親友が舟にのってしばしば現れ、昔のように話しかけてきます。その友人は庭にあるサルスベリの木はおまえに惚れていると言います。白木蓮の花の中からは小さな白い龍が生まれて天に昇っていき、桜の季節の終わりには桜鬼が挨拶に訪れます。池には琵琶湖から流れてきた河童や小さな人魚が現れ、外を歩けば、キツネや狸に化かされる・・・。綿貫はそんな不思議なことだらけの日常を悠然と受け入れ、自然にあふれた四季の移り変わりの中でゆったりと暮らしています。
 竹生島、比叡山、朽木村、石山寺、膳所、鈴鹿、音羽山などおなじみの地名も出てきます。ひと味違った琵琶湖周辺の雰囲気を愉しんでみてはいかがでしょうか。
(へろへろ隊員 ひらい)

2012.6

『サムライブルーの料理人』

西芳照著/白水社/2011年発行/783.47 ニ

 熱い盛り上がりを見せているサッカーですが、日本代表になった彼らを支えている人たちは一体どれだけいるのでしょうか?
 選手の家族、日本サッカー協会のスタッフ、現地スタッフ、海外まで観戦しに行くサポーターたち。本人たちの努力はもちろんですが、たくさんの人々に支えられて、彼らは戦っていると思います。そんな縁の下の力持ちの一人として、彼らの「食」を支えていたサッカー日本代表の専属シェフである西芳照氏の著作が本書です。
 海外遠征する選手たちにとって、もっとも大切なのはどんな環境でもベストコンディションで試合に臨めることだと思いますが、遠征先によって環境はかわります。7年間海外遠征に帯同した著者は、選手たちがどんな環境でもベストコンディションを保てるよう、栄養学だけではなく様々な工夫を凝らして選手たちを支えました。その日々を綴った本書には、スポーツ栄養学としての専門的な事柄から、料理人としての気持ち・心構え、選手や監督との交流など、様々なことが述べられています。また、実際に準備したレシピも多数掲載されていて、けっして高価な食材ばかりでない、現地材料をうまく調理したメニューにも感動します。巻末に掲載されているそれらレシピは、家庭で簡単に作ることができる手軽さで、かつ栄養に富んでいます。その他、ラッキーメニューとして選手たちが楽しみにしているラーメンや、他国のシェフと助け合いながら料理を作っていったことなど、様々なエピソードがちりばめられていて、サッカーファンならずとも楽しむことができます。
 この盛り上がりをみせるサッカーの試合の裏で、一人のスタッフとして奮闘した著者の戦いをぜひみてください。
(へろへろ隊員 やまだ)

2012.7

『星座12ヶ月』

冨田弘一郎著/岩波書店/1980年発行/443.8 ト

 皆さんも一度は、夜空を見上げたことがあるでしょう。夜空を見上げると無数の星が輝いています。学校からの見学、プライベートでプラネタリウムに行って星の観察をしたこともあるでしょう。星座を考え出したのは、古代メソポタミアとよばれた現在のイラク地方に住む紀元前3000年頃のカルデア人という遊牧民族で、夜を徹してヒツジの番をするうちに、夜空に輝く星々に親しむようになりました。星を“天のヒツジ”と呼び、星々の配置を見て、いくつかのグループにわけました。グループごとに星々を結んで、地上にある動物や器具の形を夜空に連想し、“星座”を考えだしました。カルデア人は星座の動きから季節や時間を知るようになり、農耕に必要な種まきや収穫の時期を決めるのに役立たせたそうです。
 また、太陽が一年かかって天空を通る経路を“黄道”として、それを12の星座にわけました。
 星座は、神話や伝説の中の神々、人物、動物、器物などをあてはめて、夜空を想像の絵物語で飾ったものです。一つ星座の話をしたいと思います。わし座は、大神ゼウスの化身だといわれています。ゼウスの妻、女神ヘーラの娘ヘーベは青春の女神で、オリンポスの神々が酒盛りをするときお酌をする役目でした。大神ゼウスと人間の女アルクメナの息子であるヘルクレスを、ヘーラは昔からいじめていました。ヘルクレスが自ら火を放った薪の山に飛び込んで神となって昇天したのち、ヘーラもついに彼を許して娘ヘーベをヘルクレスの妻に与えました。酒席で酌をするヘーベの後任が必要となったので、ゼウスはワシの姿になってトロイの国にとび、王子である美少年ガニュメデスを天上にさらい、酒席にはべらせるようにしたということです。このように古代の人たちは満天の星を見上げて星座や物語を作りすごくロマンチストだったのだと思います。
 蒸し暑くて寝られない時、友達や家族とキャンプに出かけた時、夜空を見上げて星座を探してみるのもいいかもしれません。この本は、ひと月ごとの星座を示し、ギリシア神話を語りながら天体の科学をわかりやすく解説されています。星座に興味のある人もない人もまずは自分の星座の物語を読んでみてはいかがでしょうか?
(へろへろ隊員 なかがま)

2012.8

『センス・オブ・ワンダー』

レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳
佑学社/1991年発行/404 カ


 今から50年前、レイチェル・カーソンは、化学薬品による自然環境破壊や人体に与える影響の恐ろしさを多くの実証的なデータをもとに検証し、その乱用を戒める書、『沈黙の春』を著しました。環境問題を最も早い時期に先取りして論じたこの『沈黙の春』は、今も警鐘を鳴らし続ける書として読み継がれています。
 『センス・オブ・ワンダー』はそのカーソンの最後のメッセージです。ここでは、やさしく穏やかに、そして丁寧に「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」のすばらしさ、また人が生きていく上でそれがいかに大切かを語りかけています。
 カーソンは、甥のロジャーがまだ二歳にもならない頃から、毎年海辺の別荘で夏をともに過ごしました。そして、晴れの日も雨の日も、夜も昼も、二人は五感をいっぱいに働かせて、自然の中で遊びました。嵐の夜の荒れる海、様々な植物や動物があふれている森、銀色の炎であたりを照らしながら海に沈む満月・・・。その不思議さや美しさ、面白さを二人でたっぷりと楽しむ様子が描かれています。
 子どもたちの世界は、もともと新鮮で美しく、驚きと感激に満ちあふれていますが、その「センス・オブ・ワンダー」を新鮮に保ち続けるには、感動を分かち合ってくれる大人が必要で、大人もまた、そうすることでその感受性に磨きをかけることになる、とカーソンはいいます。大事なのは「感じる」ことであって、「知る」ことはその半分も重要ではない、そしてそれは都会の中であったとしてもできることだ、ともいっています。
 この小さな本のなかで、カーソンは自分が感じた自然のすばらしさを丹念に描写することで、今一度私たちもその感性を取り戻したいと感じさせてくれます。
(へろへろ隊員 ひらい)

2012.9

『ブックビジネス2.0-ウェブ時代の新しい本の生態系-』

岡本真 [ほか]編著
実業之日本社/2010年発行/023.04 オ


 インターネットやPC、携帯機器の普及により、急速に形を変えてきた本の形態と読書スタイル。そんな「本の未来」について、元国立国会図書館長・長尾真氏をはじめ、各界で活躍・実践活動をしている人たちの声と、それに伴う必要な政策や制度設計についての論考をまとめたのが本書である。
 iPadやキンドルなど、電子書籍を読むために必要な端末が充実し、グーグルやアマゾン、アップルによる電子書籍の提供が一般的となった2010年。その前年、2009年8月に行われたフォーラム「第一回ARGフォーラム この先にある本のかたち-我々が描く本の未来のビジョンとスキーム」(アカデミック・リソース・ガイド株式会社 岡本真氏主催)で、上記の長尾氏や、本書の寄稿者である金正勲氏、津田大介氏などが登壇し、「本の未来」「未来の本」に対するそれぞれのヴィジョンを熱く語った。そのときの熱気を本のかたちで残したいということで刊行された本書は、フォーラムの熱気そのままに、各々がそれぞれの立場で本や出版、書き手と売り手などについて論及している。グーテンベルクの活版印刷術が世に生まれでた時のように、電子書籍とネットワーク提供という新たな形が生まれ、進化しようとしている現在、本の世界や出版界はどのように変わっていくのだろうか。その一端を、本書によって知ることができる。
 ところで、司書として最も気になるのが、やはり図書館としての電子書籍との関わりである。昨今、論文データなどの電子化をはじめ、国内図書館での電子書籍の貸出などが試験的に始まっている。図書館として、電子書籍についてきちんと考える必要があるとは思うが、移行若しくは提供については簡単にできるものではない。本書には、長尾元国立国会図書館長が提唱した「長尾構想(スキーム)」も掲載されていて、賛否両論は否めないが、理解はし易く、参考となる。その他、言及される著作権やウェブの現状などを含めて、今後の本・出版界・図書館などの未来を考える参考となる一冊である。
(へろへろ隊員 やまだ)

2012.10

『方言はまほうのことば!方言と標準語』(ことばの探検 Ⅳ)

彦坂佳宣著/アリス館発行/1997年発行/818 ヒ

 日本語にはたくさんの方言があります。他県に行って同郷の方言を聞くと知らない人でも親近感にわいたことがありませんか?そこで何時頃から方言があったのか?方言・標準語・共通語との違いを調べてみました。
 この本を読むと『万葉集』の歌集で東国(現代の中部地方から東の地方)の方言を詠んだ歌があることから奈良時代には方言があったことがわかります。
 方言とは、ことばが場所によって違うときその地域で使われることばを指し、母語として最初に家族や周囲から習得する話しことばであり、成人以降も、その地域で生活するためにぜひ必要なかけがえのないことばで、標準語はこうあるべきだと制定された規準になることばまたは、こうありたいという理想のことばを指し、共通語は方言のうえにたち、ひろい地域や全国にわかることばをいいます。
 一つ質問です。この方言は何を言っているのかわかりますか?「おーい、2月の19んちにゃー、お参りのあっとちゅーとーん。行たて見ゅーじゃなかなー。そーなー、私しゃ、ひとつも知りまっしぇんでした。坊んさんの来て、加持ばしてくれらっとじゃるけんかー、行こでー」言っていることは、「2月19日に、お参りがある。行って見よう。そうですか、私はまったく知りませんでした。お坊さんが来て、お祈りをしてくれるのだから、でかけましょう」です。方言は、このように他県の人にとってはクイズになるような面白いことばだと思いました。
 この本は、空から見て方言がどのように変化していっているか、方言の役割について、標準語がどのように広まったのか等…、イラスト付きでわかりやすく紹介されているので読みやすい本です。方言に興味がある人、ない人でもことばの新たな発見にいかがでしょうか?
 滋賀県の方言は、西部方言・北部方言・東部方言・南部方言・南東部方言と大きく5つにわかれているそうです。私は、滋賀県民ですがまだまだ知らない方言があり、会話をしていると新たな発見ができ驚くことがあります。

参考:『滋賀県方言語彙・用例辞典』
    増井金典編著/サンライズ出版発行/818.61 マ
(へろへろ隊員 なかがま)

2012.11

『ペローの昔ばなし』

シャルル・ペロー作/ギュスターヴ・ドレ挿画
今野一雄訳/白水社/1996年発行/953 へ


 粉ひきの三番目の息子が遺産としてもらったのはたった一匹のネコ。ところが、何の役にも立たないと思っていたこのネコは、ありったけの知恵を使って、あっという間にその粉ひきの息子を立派なお城の主とし、王女様と結婚までさせてしまう。
 これは、絵本などでもおなじみの「長ぐつをはいたネコ」のお話です。このお話は、17世紀の末、1697年にパリで出版された『昔話』に収められたものです。作者はシャルル・ペローで、当時伝わっていたお話を子どもの読み物として書いたものとされています。この本には他に、ディズニーのアニメで有名な「眠りの森の王女」、「赤ずきん」「青ひげ」「仙女」「サンドリヨン」「まき毛のリケ」「おやゆび小僧」の全部で八つのお話しが収められています。「サンドリヨン(シンデレラ)」は、世界各地に同じような話がありますが、カボチャの馬車にハツカネズミの馬、そしてガラスの靴はこのペローのものです。また、「赤ずきん」では19世紀始めのグリム童話のとは違って、赤ずきんちゃんはオオカミに食べられておしまいです。
 当時、子どものための本は、子どもを教え諭すものでなければならないとされていたためか、このペローのお話には最後に「教訓」がついていました。たとえば「赤ずきん」の教訓は「ごらんのとおり、まだ年のいかない人は、とくに、美しく、姿もよくて、しとやかな娘さんは、やたらに人のいうことを聞いてはいけません・・・」と続いています。でもこんな「教訓」なんか関係なく、子どもたちは、愉快なお話、ハラハラドキドキするお話を楽しんできたのでしょう。300年以上たった今も、様々な絵本の原作になったりしています。
 ここに紹介する本は、ペローの原作をそのまま翻訳したもので、19世紀の有名な挿し絵画家ギュスターヴ・ドレの繊細で迫力のある挿し絵もたっぷり入っています。「教訓」も今の私たちが読むとなかなか面白いものです。

参考:『ながぐつをはいたねこ ペロー童話』
    スタシス・エイドリゲビシウス絵/斉藤洋訳
    ほるぷ出版/1991年発行/E ヘ
(へろへろ隊員 ひらい)

2012.12

『トニー流幸せを栽培する方法』

トニー・ラズロ著 小栗左多里画
ソフトバンククリエイティブ/2005年発行/159 ラ


 イタリア人とハンガリー人の両親から生まれた米国育ち日本在住の語学好きライター、それが本書の著者トニー・ラズロさんです。
 奥さんである小栗左多里さんの著書『ダーリンは外国人』(メディアファクトリー)でもしばしば登場し、すっかりお馴染みとなりましたが、彼自身の語学・言語への情熱やその人柄には単なる登場人物だけではないスケールを感じます。そんな彼のエッセイでは、彼が持っている知識や哲学、観念などにより、それぞれが幸せになる方法が語られています。まえがきに書かれている、「たった一つだけの『フリーサイズの幸せ』が存在するとは思わない。むしろ、幸せを手にする多くの人は、複数の価値観や知恵、教え、そして経験を組み立てるようにして、自分だけの『オーダーメイドの幸せ』の道を作り上げてきているような気がする。」という言葉が本書のなかで最初から最後まで貫かれているのがとても心地よく、押しつけるわけではなく穏やかに語られる言葉は、ふとしたときに心によみがえってきます。
 本書は「芽の章」「樹の章」「実の章」という3つの章から成り立っています。発芽して、樹になって、更に実を残せるように順序だてて語られている言葉や引用は、案外基本的なことが語られていて、読んでいてとても理解がし易いように思います。今更…だけど大切なこと。そして普段意識できていないこと。甘え過ぎない。親切にしすぎない。自分の足で立つ。そんな風に意識を持って毎日を過ごしてみれば、何かがかわるかもしれません。自分の幸せは自分で種を蒔き育てる。どう育てるのかは自分次第。幸せの栽培は、ゆっくりでいいんだよ、とトニーさんが語りかけてくれる一冊です。
(へろへろ隊員 やまだ)

2013.1

『仏像イラストガイド』

現代仏像研究委員会 監修
カンゼン/2009年発行/186.8 フ


 あなたはどのくらいの仏様を知っていますか?
恐らく一度はお寺などに行って仏像を見たことがあるでしょう。日本に仏像がやって来たのは今から約1470年前、飛鳥時代です。以来、仏教は仏教徒たちの信仰の対象として、一般の人々からもご利益のあるありがたい仏様として尊崇されています。
 そんなたくさんの仏像の中から、『不動明王』という仏像について紹介したいと思います。不動明王の像は、密教が盛んになった平安時代以降に数多く作られるようになりました。不動明王は、家内安全や商売繁盛、交通安全にご利益を持つ仏様として全国各地で親しまれています。大日如来の命令を受け、如来の教えに従わない者たちの前に激しい怒りの表情で現れ、正しい教えに導き、その表情はインパクトのある険しい表情をしています。両目は大きく見開くか、左目で地を見て右目で天を見る天地眼をしており、への字に結んだ唇の一端からは上向きに、もう一端からは下向きに牙を出しています。長髪を束ねて左肩に垂らし、岩をかたどった台座もしくは不動明王特有の台座である瑟瑟座(板を階段状に積み上げた様な形をしている不動明王専用の台座)に坐っています。左手に羂索(5色の糸でよられた縄)という縄、右手に剣を持っています。邪悪な心を羂索で捕え、正しい考えや行動ができるよう知恵を象徴する剣で煩悩を断ち切ります。火焔の光背を背にしているのは、あらゆる悪を焼き尽くすさまを表しています。その力強い姿が無敵の荒武者を想像させることから、強さを求める武士の間で戦の神としても信仰されてきました。
 この本は、如来、菩薩、明王、天の4種類に大きく分けられる仏像61体を親しみやすいイラストとともにそれぞれの仏像にまつわるエピソードや特徴を解説されていて、すごくわかりやすく読みやすい1冊です。
 この本を読んでから、お寺の仏様を見てみるとまた違った楽しみ方ができるかもしれませんし、知らない人に仏様について教えてあげると尊敬されるかもしれません。
(へろへろ隊員 なかがま)

2013.2

『大人のための児童文学講座』

ひこ・田中著/徳間書店/2005年発行/909 タ

 『赤毛のアン』『不思議の国のアリス』『フランダースの犬』『ハイジ』『ピーターパン』『小公女(セーラ)』・・・といった作品は多くの人々がその名前やあらすじを知っている児童文学です。また、アニメで見たという人も多いのではないでしょうか。でも、これらの作品が100年以上前に書かれたものだということはご存じでしょうか。
 この本には、児童文学作家であり、子どもの本のすぐれた評論家である、ひこ・田中さんが選んだ14ヵ国47の作品の書評が集録されています。最も古いのは1837年の『人魚の姫』(アンデルセン著)で、新しいのは1994年の『宇宙のみなしご』(森絵都著)です。もちろん上記の作品も含まれています。1作品4ページの書評で、それぞれの作品には作家紹介とあらすじも付いています。「Ⅰ家族」と「Ⅱ子ども」という二つの章に分かれていますが、章の中では作品が年代順に並べられ、巻末には年表も付いていて、この本を読むことで児童文学の歴史も知ることができます。
 書評を読んで興味を持てる作品があれば、ぜひ原作を読んでみてください。児童文学は子どものために書かれた文学ですが、大人が読んでもとても面白いものがたくさんあります。児童文学は、次々と新しい作品が生み出されています。それらの作品は、現代社会に生きる子どもたちにより身近に感じられるものが多いことでしょう。ただ、司書として、教師、保育者としてその新しい児童文学を評価する際には、永く子どもたちに読み継がれてきた作品をたくさん読むことが有効であるともいわれています。
 京都を舞台にした『お引越し』などのひこ・田中さんの作品もおすすめです。また、ひこ・田中さんが主宰するサイト「児童文学書評」も見てみてください。
(へろへろ隊員 ひらい)