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へろへろのおすすめ本

へろへろのおすすめ本
図書館に時々出没するかえるのへろへろ。
住処は大学横の田んぼだという噂(田村山とも!?)。
ふらりとやってきては豆知識をつぶやくのが趣味なのだとか。
図書館公式キャラクターであるへろへろ隊長のもと、隊員である司書が本をおすすめしていく。
おすすめ本はカウンターにあります。
《 2018年度 》

2018.4

『マルカン大食堂の奇跡』

北山公路著/双葉社
2017年発行/673.97 キ


 巨大ソフトクリームと、わくわくした表情で口を大きく開け、ソフトクリームを食べようとしている少女。
 おいしそう!そして幸せそう!
 表紙からはそんな気持ちが伝わってきます。

 岩手県花巻市にある地元民に愛されているマルカンデパート大食堂。昭和レトロな雰囲気と、25cmもある巨大ソフトクリームが名物で、観光地としても愛されているマルカンデパート大食堂が、建物の老朽化などにより、2016年6月7日に閉店することが発表されました。
 著者を含め、岩手県民、マルカンデパート大食堂ファンたちに激震が走ります。
 そこで立ち上がったのが、岩手県立花巻北高校の女子生徒。周囲に相談し、仲間を集めて署名活動を始め、やがてその活動は大きく広がり、多くの署名が集まりました。その熱意を、同時期動き始めていた花巻家守舎が受け取り、マルカンデパート大食堂の復活に向けて歩んでいきます。
 グッズや写真集の作成、クラウドファンディングでの寄附受付など、あらゆる方法で活動を展開し、復活を目指します。
 本書では、その活動をつぶさに掲載していますが、なかでも感動し、どきどきしたのは高校生達の活動です。署名活動を通して、彼女たちは応援者ばかりでなく、反対する人、様々な意見をぶつけてくる人々にも出会います。中途半端な気持ちでは続けることができない程の活動を、それでも、彼女たちを応援してくれる先生や家族、友人たちに支えられてやり遂げます。
 こんな風に、地元を愛し、そのために考え、活動していける人生を歩める人はどれくらいいるのでしょうか?しかもそれを成し遂げたのは、ごく普通の高校生です。
 彼女たちも悩みながら活動していました。復活を検討していた花巻家守舎もぎりぎりまで悩みながら検討を続け、決断まで走り続けました。彼女たちの原動力は、地元とマルカンデパート大食堂への想いです。その想いを形にする力は、おそらく誰にでもあるのだと思います。特別な人間でなくても、はじめの一歩を踏み出すことができれば、そしてそれを続けることができれば、何かを成し遂げることができるのではないでしょうか。
 彼女たちの活動の記録には、そう思わせてくれるパワーがあります。そのパワーに、ぜひ触れてみてください。きっとその力を信じることができるでしょう。
 それと同時に、こうも思うのではないでしょうか。
 「マルカンデパート大食堂の巨大ソフトクリームが食べたい」と。

(へろへろ隊員 やまだ)