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へろへろのおすすめ本

へろへろのおすすめ本
図書館に時々出没するかえるのへろへろ。
住処は大学横の田んぼだという噂(田村山とも!?)。
ふらりとやってきては豆知識をつぶやくのが趣味なのだとか。
へろへろ隊長のもと、隊員である司書が本をおすすめしていく。
《 2017年度 》

2017.4

『夜のピクニック』

恩田陸著/新潮社
2004年発行/913.6 オ


 恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』は、平成28年度下半期の直木賞受賞作品ですが、4月11日に発表された「2017年本屋大賞」も受賞しました。本屋大賞は今年で第14回なのですが、恩田さんは第2回本屋大賞(2005年)も受賞しています。もちろん二度も受賞しているのは恩田さんだけです。今回のお薦め本は、この第2回本屋大賞受賞作『夜のピクニック』です。この本は出版されてもう十年以上たちますが、今でも中・高生への推薦図書リストなどにもよく取り上げられています。
 この小説の主人公は高校3年生です。主人公が通う高校では、伝統行事として毎年秋に全校生徒が一斉に一昼夜かけて80kmを歩き通すという「歩行祭」が行われます。ストーリーはこの「歩行祭」がスタートする朝に始まり、翌朝の「歩行祭」終了とともに終わります。主人公は、高校3年生でたまたま同じ高校の同じクラスになってしまった異母きょうだいの貴子と融。二人の関係は学校では二人以外は知りません。そして、この二人はお互いを気にしながらも大きなわだかまりがあって話をしたこともない、という関係です。貴子は、この二人の間のわだかまりを卒業までに何とかしたくて、この高校生活最後の大きな行事でささやかな賭けをします。「融に話し掛けて、返事をしてもらうこと」。
 皆が80km先のゴールを目指して、体力的には極限状態に向かって、昼も夜もただただ歩き続けるという特殊な状況の中、主人公二人の頭をよぎる様々な思いや、この二人を取り巻く友人たちの状況や思いが描かれていきます。大きなストーリー展開はない小説ですが、読んでいて大変面白く、読後に深い感動を与えてくれます。貴子の「ささやかな賭け」がどうなったかは、ぜひ読んで確かめてみてください。

(へろへろ隊員 ひらい)